エピソード

  • 解像度が低いまま描かれ続ける「中年キャラ」、読者層を考えればもっとリアリティある方が売れるのでは #242
    2025/07/11

    中年が主人公の漫画作品が増え、人気ランキングの上位にも並ぶようになりました。しかし中年側の視点でみれば、中年への解像度が昔と変わらず低いまま、いわゆる「記号化」してしまっているようなキャラが多い印象も。


    例えば一般的な中年が「以前できていたことができなくなる」という時、比較基準としているのは「若い時」ではなく「数年前」です。わずか数年を現状維持しようとするだけで、尋常でない努力が必要になる存在こそが中年なのです。


    漫画の読者層や購買層、そして描き手側においても、中年の占める比率は昔と比べて圧倒的に増加しました。そんな現代だからこそ、作品内においてもう少し主要な中年キャラにリアリティを出すだけで、圧倒的な差別化につながる可能性があります。


    もちろん中年だって夢を見たくて漫画を読んでいるはずですから、リアルに描けば売れるというわけではありません。


    しかし、「理想」よりも「共感」が作品に求められる時代だからこそ、エッセンスとして入れてみるのは、十分アリなのではないでしょうか。


    若い感性でしか描けない作品があるのと同様、自分の年齢の感性でしか描けない作品もあるはず・・・。


    自分自身、そして高年齢化する日本社会の現状とこれからなど鑑みながら、あえての提案をしていく回となっております!

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    19 分
  • 漫画家がメンタルやモチベを安定させるコツは“自分を上手に褒める”こと。その褒めポイントは「原点」 #241
    2025/07/09

    漫画家がメンタルやモチベを安定させるうえで大切なのは、「自分を上手に褒める」こと。具体的には、自分で自分の何を褒めるかです。嬉しいとは思えないポイントをいくら褒めても、あまり効果はありません。


    特にスキルやテクニックの部分では、上手な人は世の中にたくさんいます。そのため、いくらそこを褒めても、あまり本気では受け止めにくい場合・モチベが続かない場合も多いでしょう。


    だからこそ、自分を褒めるときは、自身の「これが描きたい!」という原点の部分を褒めるようにしてみましょう。何かを創ろうとする姿勢だけでも十分偉いですし、それを作品として世に出すのは尚更なわけですから。


    原点への評価は、誰であっても嬉しく、モチベーションにつながるもの。自分に対しても他人に対しても、いつまでも「これが描きたい!」の気持ちの尊重を忘れることなく、創作活動に取り組んでいきましょう!

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    13 分
  • 一番描いてはダメな漫画は「誰からも変だと思われない」作品。無難なトライをやめ、失敗作を世に出そう #240
    2025/07/07

    SNSやアプリなどで、他者からの評価が簡単に得られる時代になりました。その影響か、初心者のうちから失敗を恐れ「誰からも変だと思われない作品」を出したがる傾向が強くなっています。


    マンガ専科で課題を出しても、すぐに出題意図を問われますが、意図に沿った作品を作ろうとしすぎるあまり、小さく綺麗にまとめることだけに意識が向かってしまうことも。それでは何も身に付かなくなってしまいます。


    島本和彦先生も作品内で「プロに必要なのは、駄作を作る勇気」と描かれていますが、この時代は初心者も同じこと。


    まだまだ荒削りなレベルで作品を誰かに見せるのは勇気が必要ですが、失敗を恐れず出すマインドセットこそ、漫画業界で成果を出すためには必要なのです。


    ありがちな「いい話」や「あるあるネタ」を描き、ちょっとしたいいねを狙いにいくという無難なトライばかりに終始することなく、もっと失敗を前提とした挑戦を繰り返していきましょう!

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  • 漫画の面白さは「意外性と必然性の組み合わせ」で決まる! どちらかだけでは面白くならないので要注意 #239
    2025/06/27

    漫画における「面白さ」とは何か。一見すごく深い問い掛けのように思えますが、答えはシンプルに「意外性と必然性の組み合わせ」になるのではないでしょうか。


    意外性とは、もちろん予想外の出来事やオチのこと。必然性とは、納得感や「それ、わかるー!」という感覚のこと。自分で描いていて、どうも面白くないなと思ったら、この2つのバランスをぜひチェックしてみましょう。


    SNS漫画も「発見」か「あるある」、この両方が組み合わさっているとなおバズりやすいという法則性がありますが、これも意外性と必然性が生む結果です。


    物語のクライマックスも、予想を少し越えて欲しいという期待を持ちつつも、あまりに予想を越えすぎる展開だと「意外」とすら思えなくなってしまいます。想像できる範囲、という必然性がないと、面白さ以前に理解もできなくなってしまうのです。


    作品に物足りなさを感じたときは、意外性と必然性が足りない、あるいは、2つのうちのどちらか片方しかない、という可能性を疑ってみましょう。きっと面白い漫画の完成へと近づけるはずです!

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    20 分
  • 描き文字が苦手な人も、一瞬でコツが身に付く2つの方法!「最初に描く」「カタカナで組み合わせる」 #238
    2025/06/25

    描き文字でお悩みの方に朗報! 描き文字が一瞬で身に付くコツが、実は2つもあるんです。


    1つは、コマの中に一番最初に描き文字を入れること。そしてもう1つが、カタカナを使うことです。


    まず描き文字が難しいと思う場合は、キャラや吹き出しを先に描いていて、「この隙間に、どうやって文字を描いたらいいんだ…?」と悩んでしまっている人が案外多いはず。


    描き文字はサイズとしては結構大きいだけに、コマの構図全体を決める際に最初に配置してしまいましょう。これだけで、かなり描きやすさが違うはずです。


    そして次に、描き文字にはカタカナを使うようにしてみましょう。カタカナは斜めの文字、特に右上から左下へと斜めにいく文字が多いため、勢いがつきやすくなります。この斜めの方向を上手く活かしてみましょう。


    もちろん、文字の方向には縦・横・斜めがあり、この3方向を組み合わせて良い感じにしていく必要があるのですが、方向を意識することが上手な描き文字への第一歩となるはず。


    というわけで今回は、描き文字について、マンガスクリプトDr.ごとうがアシスタント時代の経験を踏まえつつ、持論を展開していきます。

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  • コマ割りで差がつく決定的なクオリティの違いの要因は? あって当然なのに意外に見落とす「演出意図」 #237
    2025/06/23

    コマ割りで、1コマ1コマに対して全員が当たり前のように入れていると思っていたら、意外に入っていなかったもの。それが「演出意図」。


    特にプロットを文章で書くタイプの人ほど見落としがちです。


    物語の流れをコマに落とし込み、絵として表現しただけでは、プロットのままでしかありません。


    漫画家として1コマごとに読者の心をときめかせるため、どんな意図や工夫をしているか。それこそがコマ割りです。


    どのコマをみても「あ、いい絵だな」と読者に思ってもらえるよう、常に意識をしていきましょう。


    足し算もあれば引き算もあり、表情・仕草・背景など魅せ方はさまざまですが、プロの作品には「なんとなく」で描かれたコマは1コマもありません!


    逆にいえば、そこを頑張るだけで作品全体がだいぶ違った印象になるはず。


    今回はそんなコマ割りについて、しっかりと語ってみた回になっています。

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  • 物語は「どこから始めると一番効果的なのか」と同時に、「どこが一番楽しく描けそうか」で組み立てよう #236
    2025/06/20

    皆さんは「物語をどこから始めるか」について、普段どこまで意識していますか。漫画は時系列通りにストーリーを並べる必要はないからこそ、どこから始めると一番作品として効果的なのか、ぜひ考えてみましょう。


    丁寧に描こうとする人・好きな漫画に倣って描こうとする人ほど、楽しい場面を中盤・後半に持ってきてしまう傾向が強いですが、漫画は楽しい場面やクライマックスから始まっても別にいいんです。


    描いている本人には少し違和感のある組み立てでも、読者にとっては「最初からそこがスタートの漫画」なので、全く問題なく読み進められます。


    特に、順序立てて組み立てすぎることで、楽しい場面に至るまでのプロセスを描く作業自体に「飽き」を感じているような人がいたら、ぜひ今回のお話を意識してみてください!

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  • 漫画を描き続ける「正しい工夫」はできてる? モチベ改善より、描かない選択肢を持たない脳への変化を #235
    2025/06/18

    よく「自分は、叱られるより褒められるほうが伸びるタイプ」という人がいますが、ほとんどの人がそうではないでしょうか。


    褒められたことで、それを続けるようになった結果、上達していくからです。

    漫画を描く人たちも同じで、伸びているのは、楽しい・嬉しいからではなく、シンプルに描き続けているからこそ。


    だからダメ出しをされても、「自分なんかダメだ」と自己否定して描かなくなるのではなく、描き続けられる工夫ができるかどうかが大切です。


    そういう意味では、モチベーションを「高める」より、いかに「維持する」かを意識し、「描かないという選択肢を、いかに持たせないようにするか」を考えてみるのをおすすめします。


    というわけで今回は、描き続けるための意識の工夫について、お話ししていきます!

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    21 分