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サマリー
あらすじ・解説
序)マタイがイエス・キリストの系図から書き始めている意味
・アブラハムと交わした救いの契約が、歴史の流れの中で、人間的には潰えているかのように見えるが、むしろ完成へと向かっていること。
・ダビデ王の継承として、新しい王の誕生を伝え、神の王国の再建、再統一をもたらすこと。
・バビロン捕囚という、イスラエルの国の亡国後に救い主が誕生することが強調されている。
1)救い主の誕生の系図は、人の罪を乗り越えて行われている
①最初は地元のカナン人のタマル(創世記 38:2)。タマルの夫エルは「主の目に悪しき者であったので、主は彼を殺された」(創 38:6-7)。「主の目に悪しきこと」とは、シャローム(平和)とは反対の偶像礼拝を含む神様へ背信と不従順を含む事柄(申 31:29、Ⅱ列 21:9 イザヤ 59:7 等)。
②カナン人ラハブ。エリコの遊女だった(ヨシュア 2:1)。アブラハム子孫ではなかったが、神への信仰を持って斥候に親切な対応をした(ヘブ11:31,ヤコブ 2:25)。
③ルツは異教徒の国モアブ(ロトの姉娘との間の子ども:創19:30-38)の女。義父と自分の夫に先立たれ、姑のナオミと一緒にベツレヘムに帰る決心をし、神様に対する信仰を告白した。ルツはボアズの妻となり、ダビデのお爺さんのオベデを生む。
④4人目はヘテ人ウリヤの妻バテシェバ(Ⅱサム 11:14-17)。ダビデのこの罪は預言者ナタンによって示され、ダビデは心砕かれ、悔い改める。このバテシェバとの間にソロモンが生まれる(Ⅱサム 12:24)。
・アブラハムから 14 代の系図は、タマルとラハブ、ルツを間に挟み、ダビデからバビロン捕囚までの 14 代はバテシェバから生まれたソロモンから異教の神々を取り込む偶像礼拝の罪が続けられ、バビロン捕囚からキリストの誕生までの 14 代では罪による神の怒りの救いを待ち望む預言が語られた。
・救い主が誕生に際し、女性が用いられた。その救い主は十字架を忍び、苦難を受け、神の怒りと裁きがその身に注がれ、その結果、キリストを信じる者には罪の赦しの救いを受ける。
2)救いとは何か
・絶望からの救い。不従順による失敗、恥をかく様な躓き、心身の落ち込み、試みの中で「おまえの神は何処にいるのか」と問われる苦しみからの救い。
・水野源三さんの「主よ。なぜですか」と言う歌がある。「主よ。なぜですか?父につづいて母までも。み国へ召されたのですか?涙があふれて、主よ。主よと ただ叫ぶだけで、次の言葉がでてきません。主よ。あな たも私と一緒に 泣いてくださるのですか。」