女(小学館の名作文芸朗読)
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ナレーター:
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向井 莉生
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著者:
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芥川 龍之介
このコンテンツについて
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アアとサアは大変にくやしがって、その晩、兄弟三人が揃ってへやに寝ますと、リイを窓から外へひきずり出して、そのまま窓をしめて寝てしまいました。
リイは涙をポロポロこぼしながらお月様を見ておりますと、不意にうしろの方からシャガレた声で、「リイやリイや」と云う声がしました。ビックリしてふり向きますと、そこには顔色の青い、眼の玉の赤い、白髪のお婆さんが立っておりました。お婆さんはニコニコ笑いながら、外套の下から小さな黒い棒を出してリイに渡しました。そうしてリイの耳にシャガレた低い声でこういいました。
「この眼がね、眼にあてて 息つめて、アムと云え すきなとこ、見られるぞ。 このめがね、眼に当てて すきなとこ、のぞいたら 息つめて、マムと云え どこへでも、ゆかれるぞ」
リイはためしに黒い棒を片っ方の眼に当てて、向うの山の上のお月様をのぞいて、教わった通り、「アム」と云って
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