• 2025年はクレジットの転換点になるのか

  • 2024/12/02
  • 再生時間: 6 分
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2025年はクレジットの転換点になるのか

  • サマリー

  • 弊社のコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、クレジットにとって例外的な年となったこの1年を振り返るとともに、来る2025年がこの資産クラスにとってさらに厳しい年になり得るのかについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」Thoughts on the Market へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社のコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、2025年のグローバル・クレジット市場の見通しについてお話します。このエピソードは12月2日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。モルガン・スタンレーのストラテジストとエコノミストは先日、来年の予想について取りまとめました。クレジットにとって、2025年は別れを告げる年になりそうです。今年2024年はクレジットにとって、並外れて良好な環境となりました。おそらくもう聞き飽きてしまったでしょうが、クレジットは適度を好み、極端を嫌う資産クラスです。そして、2024年にはその「適度」がふんだんにありました。経済は適度に成長し、インフレは適度に進み、利下げは緩やかに行われるという経済環境でした。企業の状況も適度でした。バランスシートは安定し、株高にもかかわらず企業同士の買収はまだ低水準にとどまっています。その結果、スプレッド、すなわち企業が支払わねばならない国債に対する上乗せ金利はほぼ一本調子で縮小し、過去最低に近い、具体的に言えば20数年ぶりの好ましいレベルにまで小さくなっています。 来年にはこの状況が変わる、と弊社はみています。米国選挙と、その結果として共和党がホワイトハウスと議会の上下両院を手に入れたことは、関税から税制、移民問題にいたる政策の結果の幅がかなり広がることを示唆しています。これらの政策は今後、これまでに比べて多種多様な結果を経済にもたらします。企業の楽観主義とアニマル・スピリットがさらに強まるシナリオも考えられれば、関税と移民問題への取り組み次第では経済成長が大幅に減速しインフレ率も高くなるというシナリオも考えられるでしょう。そのように多種多様な結果が生じても、互いに打ち消し合うために最終的な影響は差し引きゼロ、という資産クラスもあるかもしれません。しかし、クレジットはそれにあてはまりません。クレジットという資産クラスでは、企業活動が活発になってもリターンが増えることはありませんが、逆に経済成長が予想以上に鈍化すると損失がもたらされます。そして関税が欧州とアジアの両方に困難をもたらす恐れがあることを踏まえれば、その影響は世界的なものになると弊社は考えます。来年には、クレジットのスプレッドが世界中で適度に拡大することになるでしょう。ただ、もし2025年が、何かと適度でクレジットに有利だった2024年の環境にサヨナラを告げる年だとしたら、そのサヨナラはある程度時間のかかる「長いお別れ」になることを強調しておきたいと思います。弊社の経済予想のカギのひとつに、関税や税制、移民政策に大きな変化があったとしてもその効果はすぐには現れないというものがあります。クレジットに有利な今日の強い景気は、来年に入ってもしばらくは持続するでしょう。実際、2025年上半期のほとんどで景気は今日のそれとかなり似通ったものになるであろう、すなわち経済が適度に成長する一方でインフレ率は低下し、中央銀行の政策金利引き下げも続くだろうというのが、我々の見方です。端的に言えば、来年のことを考えると、2025年はクレジットの転換点に、ただしすぐには訪れない転換点になる年かもしれません。クレジット市場を下支えするかなり強い景気が来年上半期に入ってもしばらく続くものの、下半期はそれに比べて数段厳しい状況になる、というのが弊社で得られた最善の予想です。社債においてリスク調整後のリターンが最も高くなるのは...
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あらすじ・解説

弊社のコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、クレジットにとって例外的な年となったこの1年を振り返るとともに、来る2025年がこの資産クラスにとってさらに厳しい年になり得るのかについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」Thoughts on the Market へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社のコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、2025年のグローバル・クレジット市場の見通しについてお話します。このエピソードは12月2日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。モルガン・スタンレーのストラテジストとエコノミストは先日、来年の予想について取りまとめました。クレジットにとって、2025年は別れを告げる年になりそうです。今年2024年はクレジットにとって、並外れて良好な環境となりました。おそらくもう聞き飽きてしまったでしょうが、クレジットは適度を好み、極端を嫌う資産クラスです。そして、2024年にはその「適度」がふんだんにありました。経済は適度に成長し、インフレは適度に進み、利下げは緩やかに行われるという経済環境でした。企業の状況も適度でした。バランスシートは安定し、株高にもかかわらず企業同士の買収はまだ低水準にとどまっています。その結果、スプレッド、すなわち企業が支払わねばならない国債に対する上乗せ金利はほぼ一本調子で縮小し、過去最低に近い、具体的に言えば20数年ぶりの好ましいレベルにまで小さくなっています。 来年にはこの状況が変わる、と弊社はみています。米国選挙と、その結果として共和党がホワイトハウスと議会の上下両院を手に入れたことは、関税から税制、移民問題にいたる政策の結果の幅がかなり広がることを示唆しています。これらの政策は今後、これまでに比べて多種多様な結果を経済にもたらします。企業の楽観主義とアニマル・スピリットがさらに強まるシナリオも考えられれば、関税と移民問題への取り組み次第では経済成長が大幅に減速しインフレ率も高くなるというシナリオも考えられるでしょう。そのように多種多様な結果が生じても、互いに打ち消し合うために最終的な影響は差し引きゼロ、という資産クラスもあるかもしれません。しかし、クレジットはそれにあてはまりません。クレジットという資産クラスでは、企業活動が活発になってもリターンが増えることはありませんが、逆に経済成長が予想以上に鈍化すると損失がもたらされます。そして関税が欧州とアジアの両方に困難をもたらす恐れがあることを踏まえれば、その影響は世界的なものになると弊社は考えます。来年には、クレジットのスプレッドが世界中で適度に拡大することになるでしょう。ただ、もし2025年が、何かと適度でクレジットに有利だった2024年の環境にサヨナラを告げる年だとしたら、そのサヨナラはある程度時間のかかる「長いお別れ」になることを強調しておきたいと思います。弊社の経済予想のカギのひとつに、関税や税制、移民政策に大きな変化があったとしてもその効果はすぐには現れないというものがあります。クレジットに有利な今日の強い景気は、来年に入ってもしばらくは持続するでしょう。実際、2025年上半期のほとんどで景気は今日のそれとかなり似通ったものになるであろう、すなわち経済が適度に成長する一方でインフレ率は低下し、中央銀行の政策金利引き下げも続くだろうというのが、我々の見方です。端的に言えば、来年のことを考えると、2025年はクレジットの転換点に、ただしすぐには訪れない転換点になる年かもしれません。クレジット市場を下支えするかなり強い景気が来年上半期に入ってもしばらく続くものの、下半期はそれに比べて数段厳しい状況になる、というのが弊社で得られた最善の予想です。社債においてリスク調整後のリターンが最も高くなるのは...

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