エピソード

  • 宮沢賢治 「烏の北斗七星」
    2025/05/31

     かつて戦争で戦闘機よりも戦艦が主力だったころ、普段は商船として運用されている海運会社の船舶を、軍艦として艦隊に編成したものを義勇艦隊と呼びました。戦時でなければ普通の船、普通に暮らす人々も、いざ戦うことになれば与えられた役割に徹することになります。しかし、心をすべて変えることは出来ません。カラスの義勇艦隊の話です。

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    19 分
  • 鷹野つぎ 「虫干し」
    2025/05/16

     鷹野つぎは明治23年に、現在の静岡県浜松市の中流の商家に生まれました。少女時代から文学に触れて創作をはじめ、結婚や出産後も夫の転勤で各地を転々としながら、小説、随筆、詩や和歌を発表していきました。当時の浜松の四季のうつろいと子供たちの日々を題材にした作品をいくつも残しています。

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    7 分
  • 久生十蘭 「一の倉沢」
    2025/05/12

     息子が谷川岳で遭難した知らせを受けて救助活動に向かった父親は、自分自身の人生を見つめていくことになります。登山家として技を磨き山を制してきた若き日は過去のものとなり、今は仕事場で時間を潰すだけの日々を過ごしていました。遭難した息子の捜索活動は、自分自身の価値を試す試練に変わっていきます。

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    25 分
  • 幸田露伴 「野道」
    2025/05/07

     春うららかな頃、老境を楽しむ人生の先輩たちに誘われて、郊外の野道を散策します。持ってくるように言われた板切れに塗り込んだ味噌を準備し、なんでもない景色や草花の様子を慈しみながら、のどかな道行きを愉しみますが、一つの事件が起こります。滋味深い露伴の名作短編です。

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    19 分
  • 菊池寛 「蠣フライ」
    2025/04/25

     食いしん坊であった菊池寛による洋食と恋愛が絡み合う短編小説です。かつて愛した女は、自分に食事する姿を見られることを避けていましたが、大好物の蠣フライだけは別でした。ある日、汽車の食堂車でかつての女らしき姿を認めます。夫婦連のようです。過去が甦り、あの女なのかどうか気になります。

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    7 分
  • 国枝史郎 「畳まれた街」
    2025/04/22

     ピストルの音とともに探偵があらわれた街は、建物も人も様子がおかしい。まわりは犯罪人ばかりに見える。 日本の怪奇幻想小説の先駆者で、個性的な作品を残した国枝史郎のトリック小説。

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    14 分
  • 堀辰雄 「あいびき」
    2025/04/18

     「風立ちぬ」の堀辰雄の短編です。街で見かけた少年と少女の様子から、もどかしく愛を伝え合おうとする気持ちの動きが伝わってきます。堀辰雄ならではの情景描写の素晴らしさを感じる作品です。

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    11 分
  • 楠山正雄 「文福茶がま」
    2025/04/10

     表題が多くの人に知られている「文福茶釜」は「分福茶釜」と書かれることもあります。日本全国にタヌキやキツネが茶釜に化ける話が伝わっていますが、もっとも有名なのは群馬県館林市の茂林寺を舞台にしたこの話ではないでしょうか。茶釜に化けて人に捕まってしまったタヌキが、芸を披露し一躍人気者となります。

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    15 分