• 「トランプ関税」について投資家が知るべきこと

  • 2024/12/04
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「トランプ関税」について投資家が知るべきこと

  • サマリー

  • トランプ次期大統領が示した関税案と最終的に導入される政策は異なる可能性がある理由を弊社の債券・テーマ別リサーチ担当グローバル責任者が解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」Thoughts on the Market へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日はトランプ次期大統領が示した関税案について投資家が知っておくべきことを弊社債券・テーマ別リサーチ担当グローバル責任者のマイケル・ゼザスが解説します。このエピソードは12月4日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。トランプ氏の大統領就任はまだ1カ月以上先です。しかし、彼はその間にも自身の考える政策について情報を発信し始めています。投資家が最も注目すべきは、トランプ氏が発信し始めた関税についての考え方です。彼は中国、メキシコ、カナダからのすべての輸入品に関税を課す意向を示しています。また、BRIC諸国に対しては米ドルの代替通貨を求める考えを正式に退けない限り、すべての輸入品に関税を課すと話しています。要するに、トランプ氏は関税に関する発言が多いのです。これらの関税を提案するトランプ氏の率直さや、このような関税を実施する大統領の権限は確かに無視できませんが、それでもいずれにせよ、投資家にとって重要なのは、関税の脅威を引き起こす懸念に対処するために法制化される最終的な政策は、トランプ氏の発言の文字通りの解釈から示唆されるものとは全く異なる可能性があるということです。結局、トランプ氏の任期中に彼の関心事に対応して法制化された政策のうち、彼が当初示した通りには実施されなかった政策はいくつもあります。減税・雇用法がよい例で、トランプ氏は法人税率を15%に引き下げると主張しましたが、税率を21%とする法案に署名しました。もうひとつの例は、中国製品に対する関税第1弾の例外措置で、一部の企業はオンショア化に対する配慮がわずかであることに基づき例外措置が適用されました。これらの例から、手続き的、政治的、経済的な配慮によって政策は当初の提案とは異なる形に変わる場合があることが分かります。このため弊社基本ケースでは25年の米国の政策の方向性について、トランプ氏の大統領就任後まもなく関税の引き上げが発表されるものの、中国のほかには欧州からの一部の輸入品だけが対象となり、主要な政策アドバイザーの提案に沿って段階的に実施されると想定しています。中国に対する関税の強化については政治的に幅広いコンセンサスを得ており、この方針をとる行政当局がすでに存在します。欧州についても同じようなことが言えますが、関税の対象は輸入品全般ではなく、特定の製品に限られます。ただし、メキシコに関しては交渉によって関税引き上げを回避する余地があると考えています。また、大統領令でグローバル関税を導入した場合、法廷で差し止められるリスクがあり、たとえ共和党が多数派であっても議会がこのような手法を認めるのか弊社は懐疑的です。もちろん、弊社の予想は外れるかもしれません。例えば、次期政権は関税の急激な引き上げに伴う経済的な打撃に対して関心が薄いかもしれません。そのため、関税の引き上げが弊社の予想よりも早く、しかも厳しい場合には、弊社の25年経済予想はおそらく楽観的過ぎるでしょう。というのも、弊社は向こう12カ月で株式とクレジットの両方がアウトパフォームすると見込んでいるためです。そのようなシナリオになった場合は、米国ドルと米国債がアウトパフォームする可能性があるでしょう。弊社は今後も次期政権の情報発信に注意を払い、政策の軌道を示すシグナルを読み解く所存ですので、今後も弊社の考察をご覧ください。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにも...
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あらすじ・解説

トランプ次期大統領が示した関税案と最終的に導入される政策は異なる可能性がある理由を弊社の債券・テーマ別リサーチ担当グローバル責任者が解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」Thoughts on the Market へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日はトランプ次期大統領が示した関税案について投資家が知っておくべきことを弊社債券・テーマ別リサーチ担当グローバル責任者のマイケル・ゼザスが解説します。このエピソードは12月4日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。トランプ氏の大統領就任はまだ1カ月以上先です。しかし、彼はその間にも自身の考える政策について情報を発信し始めています。投資家が最も注目すべきは、トランプ氏が発信し始めた関税についての考え方です。彼は中国、メキシコ、カナダからのすべての輸入品に関税を課す意向を示しています。また、BRIC諸国に対しては米ドルの代替通貨を求める考えを正式に退けない限り、すべての輸入品に関税を課すと話しています。要するに、トランプ氏は関税に関する発言が多いのです。これらの関税を提案するトランプ氏の率直さや、このような関税を実施する大統領の権限は確かに無視できませんが、それでもいずれにせよ、投資家にとって重要なのは、関税の脅威を引き起こす懸念に対処するために法制化される最終的な政策は、トランプ氏の発言の文字通りの解釈から示唆されるものとは全く異なる可能性があるということです。結局、トランプ氏の任期中に彼の関心事に対応して法制化された政策のうち、彼が当初示した通りには実施されなかった政策はいくつもあります。減税・雇用法がよい例で、トランプ氏は法人税率を15%に引き下げると主張しましたが、税率を21%とする法案に署名しました。もうひとつの例は、中国製品に対する関税第1弾の例外措置で、一部の企業はオンショア化に対する配慮がわずかであることに基づき例外措置が適用されました。これらの例から、手続き的、政治的、経済的な配慮によって政策は当初の提案とは異なる形に変わる場合があることが分かります。このため弊社基本ケースでは25年の米国の政策の方向性について、トランプ氏の大統領就任後まもなく関税の引き上げが発表されるものの、中国のほかには欧州からの一部の輸入品だけが対象となり、主要な政策アドバイザーの提案に沿って段階的に実施されると想定しています。中国に対する関税の強化については政治的に幅広いコンセンサスを得ており、この方針をとる行政当局がすでに存在します。欧州についても同じようなことが言えますが、関税の対象は輸入品全般ではなく、特定の製品に限られます。ただし、メキシコに関しては交渉によって関税引き上げを回避する余地があると考えています。また、大統領令でグローバル関税を導入した場合、法廷で差し止められるリスクがあり、たとえ共和党が多数派であっても議会がこのような手法を認めるのか弊社は懐疑的です。もちろん、弊社の予想は外れるかもしれません。例えば、次期政権は関税の急激な引き上げに伴う経済的な打撃に対して関心が薄いかもしれません。そのため、関税の引き上げが弊社の予想よりも早く、しかも厳しい場合には、弊社の25年経済予想はおそらく楽観的過ぎるでしょう。というのも、弊社は向こう12カ月で株式とクレジットの両方がアウトパフォームすると見込んでいるためです。そのようなシナリオになった場合は、米国ドルと米国債がアウトパフォームする可能性があるでしょう。弊社は今後も次期政権の情報発信に注意を払い、政策の軌道を示すシグナルを読み解く所存ですので、今後も弊社の考察をご覧ください。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにも...

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