恐怖
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ナレーター:
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豊岡 総仁
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著者:
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谷崎 潤一郎
このコンテンツについて
以前から一度ならず襲われてはいたが、京都の木屋町に宿泊し、
不秩序な生活を送るうちにそれは勢いを増した。
曰く、私の此の病気は、鉄道病と呼ばれる神経病の一種だろうと云う。
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早急に手あてを施さなければ、脳充血をおこして死んでしまうだろう……。
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電車、自動車、劇場――そういった、刺戟の強い運動、色彩、雑踏によっても、突発的に引きおこされる。
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しかし、徴兵検査は受けなければならない。
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そこならば汽車に乗らずとも電車で事足りるので、東京に戻るよりは増しだと私は喜んだ。
電車ならば大丈夫……。
そう信じて、無理やりに安心しようと努めたが、神経は堪えられなかった。
何度も改札をくぐろうとしたが、その度に足は竦み、動悸は激しくなる……。
あゝ――。
私は今からあのとてつもない恐怖に、死に物狂いで立ち向かわなければならないのだ……。©2021 PanRolling
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- 2022/09/22
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ありがとうございました。
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