小泉八雲怪談集
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パンローリング
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小泉八雲
このコンテンツについて
幽霊瀧の傳説
茶碗の中
常識
生霊
死霊
おかめのはなし
蠅のはなし
雉子のはなし
忠五郎のはなし
或女の日記
平家蟹
露の一滴
餓鬼
尋常の事
黙想
病理上の事
真夜中
草雲雀
夢を食ふもの
耳無し芳一の話
をしどり
お貞のはなし
姥櫻
術藪
鏡と鐘
食人鬼
貉
ろくろ首
葬られたる秘密
雪女
青柳のはなし
十六日櫻
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(c)2016 Pan Rolling
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ところで、幸か不幸か、其の怪談の評判がよかったので、彼方此方から怪談を頼まれるようになって、長い間怪談ばかり書いた。それは私が支那の怪談が好きで、晉唐小説六十種、剪燈新話、聊齋志異などと云うような物を手あたりしだいに読んでいた関係から、怪談に特殊な興味を覚えていたことも原因しているのであろう……
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恋ゆえに悲劇は起き。愛ゆえに成仏できず。欲ゆえに人は死ぬ。本当に怖いのは幽霊か。はたまた人か。この怪談噺の語源は中国明代の小説集に収められた一話に基づき、三遊亭圓朝によって落語の演目化されたものである。本編は小説家田中貢太郎により怪談噺の本筋である、お露の幽霊が萩原新三郎に憑き殺すところまでをテンポ良く描いている。■あらすじ-旗本飯島平左衛門の美しき娘、お露は浪人である萩原新三郎と相思相愛になるが、恋患いから病に臥し、命を落とす。それを伝え聞いた新三郎は来る日も来る日も念仏を唱えて過ごしていた。ひとつき後の盆、十三日の夜。新三郎が縁側で月を眺めていると、生垣の向こうから「カラコン、カラコン」と云う下駄の音が聞こえてきた。やるともなしにその方へ眼をやった新三郎に、声を掛けてきたのは、美しい女を連れた年増の女中。死んだはずのお米だった。「今日は盆のことでございますから、彼方此方あっちこっちおまいりをして、晩おそく帰るところでございます」死んだと思っていたお露とお米が今眼の前にいる。新三郎は取りも直さず裏口から二人を自室に招き入れるのだった。それから毎晩のように泊まりに来る女の声に、孫店に住む使用人伴蔵が気づいたのだった。そこで、高窓に背伸びををして覗く伴蔵が眼にしたのは。島田髷の腰から下のない骨と皮ばかりの女が、青白い顔に鬢びんの毛をふり乱して、それが蝋燭ろうそくのような手をさしのべて
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ところで、幸か不幸か、其の怪談の評判がよかったので、彼方此方から怪談を頼まれるようになって、長い間怪談ばかり書いた。それは私が支那の怪談が好きで、晉唐小説六十種、剪燈新話、聊齋志異などと云うような物を手あたりしだいに読んでいた関係から、怪談に特殊な興味を覚えていたことも原因しているのであろう……
怪談文学の第一人者ともいえる田中貢太郎が、二十年に渡って書き上げてきた作品を蒐集した「日本怪談全集」。第三巻です。残暑厳しい中も体の芯まで寒くなるような怪談は格好の作品です。涼しい秋が来る前に……
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中国や日本の古典文学を背景に、妖美で幻想的ながらも、現実と思わせるほど人間の愛憎を芸術性豊かに描いた『雨月物語』は、べネツィア映画祭で銀獅子賞を受賞した溝口健二監督による映画、水木しげる氏による漫画などに派生し、後世に大きな影響を与えている――
日本の本格怪異小説といえばこれ!
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・義兄弟の契りを結んだ二人の男の再会は、思わぬ形で果たされることに…(菊花の約)。
・戦乱の最中、家の再興のために旅立って、7年もの間、家を空けた男が故郷に帰って見たものは…(浅茅が宿)。
・男が出会った絶世の美女・真女児の正体は蛇であった…(蛇性の婬)
など、珠玉の全九編。いずれも和漢の作品を典拠とした一種の怪談ではありますが、仏教的因果関係の思想や儒教的勧善懲悪の倫理観を越えて、封建社会のなかでは求めがたい純朴な人間像を、古い時代や超自然的な場を舞台にして鮮やかに描き出した傑作です。漢の古語を自由に駆使した独特の文体と鬼気迫る怪奇描写は、きっとあなたを虜にすることでしょう……
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著者: 田中 貢太郎