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ナレーター:
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あべわき
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著者:
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夢野 久作
このコンテンツについて
<内容紹介>
美代子さんは、綺麗で可愛らしい子。しかし、人の口真似をするため、周りからは嫌われていた。
ある日、美代子さんは家の前で一人で羽子をついていると、一人の支那人が反物を担いでやってきた。
美代子さんの家の門口で「奥さん、旦那さん、反物入いりまションか」というと、美代子さんは羽子をつきながら「入りまショんよ」といった。
支那人はニヤニヤしながら美代子さんを見て次は「けんとんけんちゅう(支那の織物の名)入りまションか」といった。
すると、美代子さんはまた羽子をつきながら「てんどんけんちん入りまションよ」と口真似をした。支那人はこの時怖い顔をした。
何も知らずに羽子をついている美代子さんの後ろに来て、巾着をポケットから出して口を拡げながら「オーチンパイパイ」というとまた美代子さんは口真似をした。
支那人が大きな掛け声をすると美代子さんは羽子板ごと影も形も見えなくなってしまった。
支那人はニヤリと笑って、反物を担いで隣の門口へ言って知らぬ顔で「けんとんけんちゅう入りまションか」と呼んだ。
美代子さんの家の玄関で勉強していた兄の春夫は支那人の妙な掛け声を聞いて、美代子さんの羽子板の音が聞こえなくなったことを怪しく思った。
障子を開けて外を見渡すと、さっきまでいた美代子さんの影も形もないことに気づく。変に思った春夫は外に出てみると、二三軒先で支那人が「反物入りまションか」と言っている。
春夫は支那人が誘拐したに違いないと考えた。
<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
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